今日、世界では地球温暖化が大きな問題として取り上げられ、目に見える形で地球温暖化が進行しています。年々勢力を増す台風、大規模な森林火災、生態系の乱れなど、様々な問題が地球温暖化が原因で起きています。この深刻な問題に対し、全世界ではどのような目標を掲げ、各国ではどのような対策を行なっているのかを紹介していきます。また私たち一人一人はこの深刻な問題に対して、どのように向き合っていくべきであるかを考えます。
全世界の地球温暖化対策目標
現在世界で共通の地球温暖化対策目標としてパリ協定が発行されています。では、パリ協定はどんなもので、どのような目標が掲げられているのでしょうか。
【パリ協定とは】
パリ協定とは、国連気候変動枠組条約締約国会議で採択され、2016年に発効された「全ての国が参加する公平な合意」で、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みです。
【パリ協定の概要】
パリ協定で定められた目標は以下の通りです。
1.世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること。
2.主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。
3.全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。
4.適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、
適応報告書の提出と定期的更新。
5.イノベーションの重要性の位置付け。
6.5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み(グローバル・ストックテイク)。
7.先進国による資金の提供。これに加えて、途上国も自主的に資金を提供すること。
8.二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用。
つまりこの8つが全世界の地球温暖化対策目標となるのです。
各国の対策への対応と行動
世界の温室効果ガス排出量の多い順をご存じでしょうか。2019年時点で、国別の温室効果ガス排出量では多い順に、中国、アメリカ、インド、ロシアと続いて日本は5番目に排出量が多い国となっています。そこで温室効果ガスの排出が多い国とあまり多くない国のいくつかを排出量の多い国から順に、各国の対策をみてみましょう。
出典:「データで見る温室効果ガス排出量(世界)」(全国地球温暖化防止活動推進センター)(https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge04#:~:text=世界の温室効果ガス,国となっています%E3%80%82)(2022年10月13日利用)
国 | 目標 | 行動 |
中国 | 2030年までに、一次エネルギー消費に占める非化石燃料(エネルギー)の割合を20%に増やす。・2030年までに、2005年比で、森林ストック容量を約45億㎥増加させる。 | 2019年から2020年の間1年間で原発約120基に再生可能エネルギーの設備容量を整備した。 |
アメリカ | 2025年までに、2005年比で、温室効果ガス排出量を26~28%削減する。28%削減へ向けて最大限の努力をする。 | 化石燃料からクリーンエネルギーへの切り替えを促進するために、切り替える企業に見返りを与える1500億円のプロジェクトを始める。 |
EU | 2030年までに、1990年比で、温室効果ガス排出量を国内で少なくとも40%削減する。 | EU排出量取引制度という、対象となった企業に温室効果ガスの排出量の上限を与え、その量を超えないよう企業が努力し余剰分を市場で取引できる制度の強化と拡充に努めている。 |
カナダ | 2030年までに、2005年比で、温室効果ガス排出量を30%削減する。 | ネットゼロという2050年までに温暖化ガス排出量実質ゼロを目指す法律を成立させた。事業が環境に配慮することを促進するために2022年3月までの当該会計年度中に50億カナダドルを環境債として発行する。 |
スイス | 2030年までに、1990年比で、温室効果ガス排出量を50%削減する。 | 産業界に燃焼用燃料から排出されるCO2を1990年の量から比べ15%、運輸用燃料からの排出量を8%削減することを目標と定めたCO2法を成立させ、達成できない場合罰則としてCO2税を課すことを定めている。 |
ケニア | 2030年までに、BAU(143百万トンCO2換算)比で、温室効果ガスを30%削減する。 | 日本から優れた脱炭素技術等を普及してもらえるJCMクレジットを日本と発行した。 |
出典:COP21の「パリ合意」に向けた、各国の温暖化対策目標案の提出状況(WWFジャパン)(https://www.wwf.or.jp/activities/activity/1169.html)を元に株式会社Linkhola 作成
一人一人ができる対策
私たちが出来る地球温暖化対策はなにか。「Think Globally, Act Locally(グローバルに考え、ローカルに行動する)」。一人一人ができる対策から、意識や生活スタイル(ライフスタイル)をチェンジしていくことも大切です。いくつかの簡単な地球温暖化対策を見てみましょう。
1.節電する
私たちが使用する電力や熱の大部分は、石炭や石油、ガスが燃料として使われています。見てない時はテレビを消す、冷房は設定温度をやや高く、暖房はやや低く設定するなど小さなことを心がけましょう。
2.自動車の利用を控える
多くの自動車は軽油またはガソリンを燃料に走り、多くの温室効果ガスを排出させます。そこで移動を徒歩、自転車、または公共交通機関に変えることで排出量削減できます。
3.野菜を多く食べる
野菜を多く食べることで肉や乳製品の輸出、生産などで排出される温室効果ガスを削減できます。
4.ゴミを減らす
ゴミを減らすことで処分する際に出る温室効果ガスを削減できます。着用しなくなった衣服はリサイクルに出す、自炊をすることでコンビニなどのお弁当のプラごみの削減、マイ箸、マイストローを持ち歩くなどの工夫をしましょう。
5.家庭のエネルギー源を変える
これには少し費用を必要としますが、自宅にソーラーパネルを設置する、風力や太陽光などといった再生可能エネルギーに切り替えすることが出来るかを電力会社に問い合わせることことで、ガスや石炭から発生する温室効果ガスを削減できます。
まとめ
ここまでで、世界共通の地球温暖化対策の目標、各国の対応、一人一人ができる対策を紹介し、全世界ではパリ協定で地球温暖化に対して具体的な目標を掲げ、各国はその目標達成に対して行動を起こしていることがわかりました。各国は法の整備といった対応をしていますが、最終的には私たち一人一人の行動が非常に大切です。最後に紹介した行動を多くの人が行えば行うほど、確実に効果は現れます。国に頼るだけでなく、一人一人が地球環境に対して意識をもち生活していきましょう。