脱炭素経営を行うことは、環境を守ることだけでなく、企業を発展させることにも繋がります。
この記事では、脱炭素経営を行うメリット・デメリットを中心に、脱炭素経営の背景にある「企業の見られ方」や「資金調達」などを紹介しています。
脱炭素経営とパリ協定
パリ協定とは、2015年パリにおいて開催された国連気候変動を決定する国際的な会議です。
パリ協定は「京都議定書」の内容を継承するもので、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みとなりました。
2015年に「パリ協定」が採択された以降、気候変動問題が世界共通の課題であるとして温室効果ガスの削減に向けた合意がなされました。
日本でも、2020年10月に政府が「カーボンニュートラル」を掲げ、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする宣言をしています。
脱炭素は人類が存続していくために必要不可欠な課題であり、今それが各国政府から企業レベルにまで共通の課題として認められています。
脱炭素経営に取り組まないことによるリスク
昨今各企業が取り組んでいる「脱炭素経営」。
企業が脱炭素経営に取り組まないことによるリスクはいったいどのようなものがあるか、ご紹介します。
エネルギーコストが増加する
脱炭素経営に取り組まないことにより、削減可能なコストを支払うこととなります。
企業としてはデメリットでしょう。
例えば「社内の電球を変える」や「空調設備を変える」も1つの脱炭素経営にあたるでしょう。
日常的に使う空調や照明等がどれだけコストを使っていて、企業の利益を圧迫しているのかを確認することが、脱炭素経営に繋がるきっかけになるかもしれません。
さらに近年では、省エネを推進する企業に対して支給される補助金もあるため、そういったリソースを活用しながら省エネ設備の導入を進める企業も増えてきています。
投資家・株主からの気候変動に関する情報開示の要請
日本は、パリ協定に基づきCO2など温室効果ガスの排出量を2030年までに46%削減、2050年までに実質ゼロを目指すことを宣言しました。
宣言に伴い近年行われた、東証の市場再編(プライム、スタンダード、グロース)では気候変動に関する情報開示基準が変更となりました。上場企業(大企業)を中心に、カーボンニュートラル宣言、目標・戦略・リスク等の開示が義務あるいは強い推奨として対応を求められています。
例えば、日本企業ではトヨタ自動車株式会社や積水ハウス株式会社を中心にサプライヤーを選定する際、環境問題への取り組みを考慮する方針を示しています。
今後、大手企業を中心に脱炭素経営の動きが進めば、関係する中小企業も対応する必要が出てくる可能性があります。今後取り組まないことで、ビジネスチャンスを逃すことも十分考えられるでしょう。
サプライチェーン、取引先からの要請
多くの大企業やグローバル企業はカーボンニュートラルに関して、2030年や2050年までに達成する目標を宣言しています。
その達成のためにサプライチェーン先にも再エネ導入、CO2削減の要請が強まっています。
例えば、アップルはグローバルサプライチェーンに対して2030年までに脱炭素化することを要請しています。
(詳しくはこちら)
またマイクロソフトは、取引先も含め、温室効果ガスの排出量を半減させる目標を設定しました。
マイクロソフトは事業活動に関連するサプライヤーとの協力を進めました。
具体的に、2020年7月までに社内炭素料金(インターナルプライシング)を改定。
その結果、サプライヤーには、GHG排出量データを計算して報告してもらうことの協力を促しました。
この様に、企業のカーボンニュートラル目標に対して、取引先にも対応が求めらるが今後多くなります。
脱炭素経営を取り組むことによるメリット
日本企業のカーボンニュートラル宣言は、今や数百社を超えています。
このように脱炭素経営は多くの企業に普及してきています 。
その背景には、株式市場・国際的な金融機関等などによる要請、情報開示義務があります。
しかし、それ以外の側面として資金調達がしやすくなるというメリットがあります。
資金調達がしやすくなる
脱炭素経営を行うことで、資金調達がしやすくなることも考えられます。日本銀行は2021年に脱炭素化に取り組む企業へ融資や投資を行う金融機関に対して、優遇策を検討していることを公表。実際に一部の金融機関では、脱炭素経営を実践している企業に対しての優遇措置を出しているところもあります。また、環境的な側面の評価からESG投資を受けやすくなります。現在では、大規模な投資家ほどESG投資に傾斜しており、気候変動問題を考える観点から企業に対してカーボンニュートラルの実現を強く迫るようになっています。
このように、脱炭素経営は資金調達の面までにも影響を及ぼしています。資金調達をきっかけに脱炭素経営を見直すことも検討してみてはいかがでしょうか。
脱炭素経営としてこれから取り組めること
これまで脱炭素経営に取り組んできた企業も、これから取り組む企業も共通して、今後取り組める内容をまとめます。
脱炭素化経営の目標を掲げ宣言する
脱炭素経営を宣言することで他社からの見られ方、投資家からの見られ方を変えられる可能性があります。
また、企業の短期・中期目標に掲げることで、脱炭素化経営を市場にアピールするとともに、目標に応じた外部からの情報や支援も広く受けることが可能になります。
脱炭素化経営に向けたプランを立てる
脱炭素経営を宣言したら、現状のCO2排出量を算定しましょう。
現状のCO2排出量が把握できたら、取り組めることを洗い出し、「いつ」までに「どれくらい」削減するかの計画を策定。
最後に削減目標と期間、実現にかかる投資コスト、想定されるランニングコストの変動(光熱費など)をまとめ、計画に落とし込みます。
また計画立案において、国や自治体で設けている支援策を利用するのも有効です。
中長期目標を掲げて経営計画に落とし込む
日本では、2030年には温室効果ガス排出量を2013年比で46%削減、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することを目標に定めています。
それに合わせて、企業においても2030年・2050年の中長期目標を掲げ、その目標から逆算式に短期、中長期経営計画に落とし込みましょう。
その具体的な行動内容としては、再生可能エネルギーや脱炭素に関わる先端技術への投資、脱炭素経営に対応する人材の採用および育成などがあげられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、脱炭素経営を行うことのメリット・デメリットを中心に、さまざまな側面で脱炭素経営を紹介してきました。
弊社ではこれから脱炭素経営を始める企業からのご相談も、既に脱炭素経営を行っている企業からのご相談も承っております。
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