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環境に配慮したイベント・フェスの最新トレンドとは?

イベントやフェスでの環境問題は以前から注目されている議題です。コロナが落ち着いて、野外フェスやスポーツイベントの開催、出かける人がも増えています。、今一度、これらがもたらす環境問題、CO2排出問題を改めて考える必要があります。この記事では、最先端の取組み事例から、フェスやイベントにおける環境問題のこれからのあり方を紹介していきます。

イベントの5大環境問題

イベントがもたらす環境負荷と聞いて、最初に何を思い浮かべますか?実は、主な環境負荷として5つも挙げられます。使い捨てプラごみ、フードロス、交通、エネルギー、カーボンフットプリントによるものです。以下でそれぞれについて詳しく説明します。

使い捨てプラゴミ

イベントでは、食品の包装材やプラスチック製品、飲料容器などの「使い捨てのプラ容器」が大量にでます。「使い捨てプラゴミ」をいかに適切に処理するかという仕組みが必要です。分別しないで捨てたり、ゴミ箱に入れずにポイ捨てするなどの行為は、環境に大きな負荷がかかります。廃棄物の適切な分別やリサイクルの促進したり、プラスチックの使用量を減らしたり、包装や容器の材質をエコな素材に変えたり、工夫する必要があります。

食べ残し・飲み残し(フードロス)

多くの人々が参加するフェスやイベントでは、ドリンク類や食べ物の提供が行われます。しかし、過剰な食事の提供や人々の食欲の変動により、食べ残しや飲み残し、いわゆる「フードロス」が問題になっています。来場・参加者の需要を予測し、適正な量を提供することで、食べ残しや飲み残しの削減が図れます。また、環境に配慮した飲食物の提供も環境配慮につながります。

交通(渋滞・排ガス・CO2排出)

大規模なイベントでは、非常に多くの来場者が集まります。そのため、会場周辺や交通路での交通渋滞が発生し、CO2の排出量が増加、大気汚染のリスクも高まります。対策として、参加者に公共交通機関の利用を奨励する情報やアクセス手段を提供したり、専用のシャトルバスや電車の増発などが考えられます。また、イベント会場周辺に自転車駐輪場を整備したり、歩行者や自転車利用者の安全を確保するための道路整備を行うことも有効です。

エネルギー

大規模なフェスやイベントでは、演出や空調・照明など多くの電力・燃料が必要となります。そのため、化石燃料由来のエネルギーの使用でよいのか、CO2の排出を減らさなくてよいのか、といった点が課題となります。対策手段として、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの活用、カーボンオフセットの実施などが求められます。

カーボンフットプリント

野外フェスやスポーツイベントでのCO2排出をカーボンフリーにするため、「カーボンオフセット」が活用される事例があります。イベントで排出されるCO2量分を、他のプロジェクトで相殺する仕組みです。植林や再生可能エネルギーといったCO2を削減するプロジェクトに資金が提供されます。参加者や主催者はカーボンオフセットに参加し、環境にやさしいイベントを実現できます。

日本のサステナブルなイベント・取り組み

フジロックフェス:世界一クリーンなフェスを目指す取組み

国内最大級の野外ロックフェス、フジロックフェスティバルは、多くの人が集まる大変人気なイベントです。海外で行われるロックフェスでは、終了後会場にたくさんのごみが残されるのが普通というイメージでした。しかし、フジロックでは環境に対する様々な対策が取られており、「世界一クリーンなロックフェス」を目指しています。

たとえば、「OSAHO」という動画は、来場者にマナー向上を呼びかけるものです。この動画は、日本の文化や風習を意識させる内容であり、来場者が自然に持続可能な活動に参加することを促しています。

また、会場内には複数のごみステーションが設置されており、ボランティアスタッフが来場者を案内し、ごみの分別収集を行っています。こうした取り組みにより、ポイ捨てが防止されています。

フジロックでは、会場で使用される食器などはリサイクルしやすい素材が使われています。会場で分別されたごみは、次年度に使われるごみ袋やトイレットペーパーなどへとリサイクルされており、これによって、廃棄物の削減と資源の循環が実現されています。

坂本龍一氏・ミスチル櫻井氏のapbank:グリーン電力で野外コンサート開催

10年以上前に当時注目された、apbankによるグリーン電力を用いた先進的なイベント開催についてご紹介します。apbankは坂本龍一氏やミスチルの櫻井氏らが発足し、可能性ある新しい未来をつくろうとしている環境プロジェクトに融資を行なっています。

2006年に開催されたap bank主催の野外音楽イベント「ap bank fes’06」では、ライブエリアで必要な電力をグリーン電力証書(風力、バイオマス、太陽光などの再生可能エネルギー)の購入によって供給しました。また、最寄りの駅から会場までの一部のバスなどにはバイオディーゼル車を導入し、イベントの開催によるCO2排出量を削減しました。今でいう、カーボンフリー、カーボンオフセットで、アーティストによる先進的な取り組みです。

Jリーグ:アプリを使った環境配慮型の行動変容トライアル

最近では、Jリーグでも取り組みが始まっています。Jリーグは、持続可能な社会の実現に向けて、スマホアプリ等を活用し、一人ひとりが環境に配慮した行動変容を促進するトライアルを実施すると発表しました。ファン・サポーター、Jクラブのホームタウン在住の地域のひとびとともに、スマホアプリ等を活用することで、一人ひとりの環境に対する日常の行動変容を促し、地域活性に繋がるようなアクションを促進することを目的としています。

世界のトレンドはカーボンフットプリント、カーボンオフセット

欧米がリードするスポーツイベントでのサステナビリティ活動

欧米は、チャリティー文化・精神がもともと浸透しています。そのためプロスポーツ業界などで、チャリティー活動の発展形としてSDGsなどの取り組みも盛んです。

米国の国民的スポーツの一つ、バスケット、NBAの事例を紹介します。NBAのチームの一つ「マイアミ・ヒート」は環境保護と社会的責任の両面でサステナブルなイニシアチブを推進しています。NBAは、各チームのホームアリーナでエネルギー効率化や持続可能な運営を推進するための「グリーンプロジェクト」を実施しています。これにより、エネルギー消費の削減、再生可能エネルギーの導入、廃棄物のリサイクルなどが進められています。

また、毎年NBAは、環境に関する意識を高めるための「グリーン・ウィーク」を実施し、持続可能な取り組みや環境保護に関する啓発活動を行います。例えば、エコフレンドリーなイベントの開催、環境に配慮した公共交通機関の利用促進、リサイクルプログラムの強化などが行われます。

世界的ロックバンドの音楽ライブの環境配慮:コールドプレイ

英国の世界的人気ロックバンドであるコールドプレイは、2019年、環境に優しい方法を見つけるまではツアーを行わないと宣言し、2022年、ワールドツアーを開催しました。このツアーは、前回のツアーと比べてCO2の排出量を50%削減すると宣誓しているほか、会場では、ほとんどすべての電力・燃料を「再生可能エネルギー」でまかなうとしました。

例えば、物流世界大手DHLをオフィシャルパートナーとして迎え、先進的なバイオ燃料の使用による貨物排出物の削減、有機廃棄物を燃料とする電気自動車やトラックの導入しました。その他にもサプライチェーンにおけるカーボンオフセットなど、革新的な削減策、ソリューションを用いています。

F1グランプリの環境配慮

F1は2030年までにネット・ゼロ・カーボンを達成するというミッションの推進を継続しています。2022年に、発表された、2026年からのF1の新しいレギュレーションによれば、まず燃料は化石燃料から完全に脱却したカーボンニュートラル燃料が100%用いられます。

また、現在使われているMGU-Hと呼ばれる熱エネルギー回収システムが廃止され、通常のハイブリッドシステムであるMGU-Kの出力が大幅に高められることとなりました。環境への悪影響が懸念されているF1ですが、このような対策をうちながら、CO2排出量を実質ゼロにするための取り組みを行なっているのです。

サステナブルなイベント・フェスの認証団体

AGF(A Green Future)は世界中の組織、イベント、フェス、会場の持続可能性を高め、環境への影響を軽減できるよう支援する非営利企業です。AGFは組織や個人に対して、既存の行動と運営の分析、戦略の開発実行をし、持続可能なソリューション、意思決定と実行のためのツールと専門知識を提供しています。

作る責任・使う責任:私たち個人の行動

エコフレンドリーなイベントを選ぶ

私たち自身がエコフレンドリーなイベントを選択することによって、間接的に環境に配慮することができます。また、環境保護に関する啓発活動や参加型のプログラムにに参加することで、環境に関する知識や意識を高めることができます。

ゴミを出さない・公共交通機関を使う

会場内に設置されたごみステーションを利用してゴミを適切に分別することで、リサイクルや廃棄物処理の効率化に貢献できます。また、車の利用を最小限に抑え、公共交通機関や自転車、カーシェアリングなどの持続可能な交通手段を選択することで、輸送に伴うCO2排出量を削減できます。

イベント・会議のカーボンオフセットを使う

世界的に有名なホテルブランドのヒルトン(Hilton)は、カーボン・オフセットプログラムミーティングやイベントを実施しています。宴会やシンポジウム、会議などで発生した温室効果ガスの排出量を計算し、その分の温室効果ガスの国内の排出権を買い取り相殺しています。

まとめ

いかがでしたか?こちらの記事では、イベントやフェスがもたらす環境問題と、その問題解決のために取り組まれている事例や個人でできる行動についてお話ししました。イベントやフェスに行く機会があれば、ぜひ心がけてみましょう。

また、弊社では、業種業界を問わずすべての企業がカーボンニュートラルに向けて取り組むことができるEARTHSTORYというサービスを展開しています。このサービスは、企業が削減した二酸化炭素量を計測し、その環境価値を取引することができる画期的なシステムです。

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