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屋根置きPPAはなぜ今注目されるのか②

近年、脱炭素の実現のため再生可能エネルギーをどのように利用していくかは重要な課題となっています。
その中でも太陽光発電は特に注目されていますが、太陽光発電は一定の土地が必要であり導入コストがかかってしまいます。そこで最近では、PPAという太陽光発電の導入方法に注目が集まっています。
前回の記事では、PPAの概要やそのメリットとデメリットについて確認しました。
今回は、より詳しくPPAについてみていきましょう。

PPAのスキーム

PPAのスキームについて説明します。
PPAには大きく分けて「オンサイトPPA」「オフサイトPPA」という二つの形態にわかれます。
また、この二つの分類の中でも、オフサイトPPAについては、電力の取り扱いに応じて「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」の二つの形態に分けることができます。
2023年現在では、日本におけるPPAは一般的にオンサイトPPAが主流であると言われています。

引用:Linkholaオリジナル画像

オンサイトPPA

それでは実際のスキームについて説明します。まずはオンサイトPPAから理解を深めていきましょう。
オンサイトPPAは「On-Site Power Purchase Agreement」の略称です。オンサイトとは、自社の敷地内のことを指します。
具体例として挙げられるのは、自社の建物の屋根などです。オンサイトPPAでは、PPA事業者がオンサイトに太陽光発電設備を設置して、需要家に電力を供給します。
その際、太陽光発電設備の設置や維持管理にかかる費用は、PPA事業者が負担します。需要家はクリーンエネルギーの使用ができ、かつ設備の建設や運用にかかるコストの削減が可能です。太陽光発電に適した施設や敷地を活用したいケースに適しています。

オフサイトPPA

オフサイトPPAは「Off-Site Power Purchase Agreement」の略称です。オフサイトとは、自社の敷地外のことを指します。
オフサイトPPAでは、敷地外に設置された太陽光発電設備から一般的な電力系統を通じて、需要家へ電力を供給するのが特徴です。専用発電所や小売事業者を介在させるものが例に挙げられます。
また、オフサイトPPAは、「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」の2つの形態に分けられます。
フィジカルPPAとは、PPA事業者から無償設置してもらった太陽光発電で発電および自家消費することができ、再エネを供給源とした電力の獲得とそれによる自社の環境価値の獲得が可能です。
一方でバーチャルPPAは、需要家が所有し発電された電力は卸電力市場から間接的に太陽光発電の電力を受け取る形になります。

引用:経済産業省 一部抜粋「再エネ導入拡大に向けた事業環境整備について」

近年注目を集める理由

FIT制度からFIP制度への移行

ここからは近年PPAが注目を集める理由について説明します。
今回は最も影響が大きいと考えられた、制度面での変更について説明します。
まず、FIT制度からFIP制度への移行が挙げられます。そもそもFIT制度とは再生可能エネルギーの普及を目的として2012年度から始まった制度です。これは企業や家庭から発電された再生可能エネルギーを、国が定めた価格で電気会社が買い取ることを義務づける制度です。
ここに2022年度から新たにFIP制度というものが加わりました。これは再エネの導入を促進するために支給される補助額は一定となり、発電業者は電力取引市場で自由に売買をする仕組みです。
買取価格が一定のFIT制度では、いつ売買しても同じ収入が得られますが、常に収入が変動するリスクのあるFIP制度では、特定の法人と長期で契約を結んだ方が安定した収入を得られやすいという特徴があります。よってFIP制度への移行により、PPAが注目されるようになりました。

出典:経済産業省 「再生可能エネルギー固定価格買取精度等ガイドブック 2021 年度版」

自己託送制度の改変

自己託送は自家消費型の太陽光発電モデルとしてこれまで注目されていましたが、本来の目的にそぐわない導入方法が行われる例が増加したことを背景に、資源エネルギー庁が2023年12月26日に開催した電力・ガス基本政策小委員会において「要件厳格化」と「新規受付停止」を行うことを決定しました。
これにより、再エネ導入の代替案としてPPAは注目が高まっているのです。

PPAに関する補助金

また、PPAに関する補助金の充実も注目された背景に挙げられます。
例えば経済産業省からオフサイトPPAモデルを利用して太陽光発電を導入する需要家に向けた補助金制度や、環境省から蓄電池と太陽光の同時導入への補助金などが整備されています。
こうした補助金制度の充実も近年、太陽光発電やPPAに注目が集まった背景になります。

脱炭素社会に向けて

RE100について

企業はPPAなどを通して太陽光パネルを導入することにより、二酸化炭素が発生しないエネルギー源からのエネルギー調達が可能になります。
これは、昨今企業が求められる「環境に配慮した企業行動」を実現することに役立ちます。こうした企業の再生可能エネルギーの導入を促すために、「RE100」という国際的なイニシアティブがあります。
「RE100」の「RE」はRenewableEnergy(再生可能エネルギー)の頭文字をとって名付けられており、2014年にNGO団体・The Climate Groupによって設立されました。2023年10月現在、RE100には27カ国から421社が参加しています。
影響力の大きい企業が、①事業活動で使う電力を「再生可能エネルギー(以下、再エネ)」に置き換えることにより再エネ市場を拡大させること、②エネルギー移行を加速させるためのシグナルを送り、再エネ推進の輪の拡大を目的としています。
RE100には、情報技術や自動車製造などフォーチュン・グローバル500企業を含む多様な分野から企業が参加しており、世界的に有名な加盟企業として、AppleやGoogle、Microsoftやスターバックス、IKEAやネスレなどが名を連ねています。

引用:環境省「RE100について」

まとめ

前回と今回を通じて、PPAモデルについて詳しく見ていきました。
脱炭素社会への以降が進み、再生可能エネルギーである太陽光発電が注目を集める中、どのようにその導入を増加させていくかについてはまだまだ考えていかなくてはなりません。
今後も引き続き注目していきましょう。

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