【代表野村厳選】世界のカーボンニュートラル企業

Loop Industries (カナダ・ケベック州)

環境負荷軽減への取り組みの加速や、世界的なリスクの高まりによって、循環型社会の実現に向けた取り組みは近年より重要性を増しています。その中でもケミカルリサイクル、プラスチックリサイクルは特に重要です。
今回はそんな再生可能プラスチックを生産するLoop Industriesについて取り上げます。Loop Industriesの革新的な技術は世界をどのように変化させるのでしょうか。

Loop Industriesについて

企業概要

Loop Industriesはカナダに拠点をおく企業であり、2010年に設立されました。
また、2017年には米国ナスダックに上場しています。Loop Industriesの事業内容は廃プラスチックを原材料に変えるといったものでこれを通じて循環型経済の実現を目指しています。
事業の具体的な内容は廃PETボトルやプラスチックを100%原料として使用し、ポリエチレンテレフタレート(PET)をモノエチレングリコール(MEG)とテレフタル酸ジメチル(DMT)に分解する技術を開発しているといったもので特許を所有しています。このプロセスにより、色や付属物を除去し、純化された原料から新たなPETボトルを生産することを可能にしています。

引用:Loop Industries「Press Release」

Loop Industriesの重要性

プラスチックリサイクル市場は現在拡大傾向にあり、現在511億ドルの市場規模と言われています。
また、この拡大傾向は加速しており2028年までに約675億ドルにまで市場が拡大すると言われています。Loop Industriesは持続可能な社会の実現に向けて重要な役割を果たしています。
Loop Industriesの行う、プラスチック廃棄物をリサイクルし、材料として用いるということが完全に達成されれば資源を循環させて利用することができ、資源輸入依存を脱却することや環境保護などその国・社会に大きなメリットをもたらすことができます。

競合企業

Loop Industriesは化学産業に属し、Eastman、 Alplaなどが競合になります。それぞれの競合企業の特徴を見ていきましょう。

Eastman

Eastman Chemical Companyはアメリカ合衆国テネシー州キングスポートに本社を置くグローバルな化学メーカーです。主に特殊化学品、プラスチック、繊維、コーティング剤などを製造しており、特にPET(ポリエチレンテレフタレート)のリサイクル技術に注力しています。
Loop Industriesとは、PETリサイクル技術を提供する企業として競合関係にあります。Eastmanは、化学リサイクル技術を用いて高品質なPETを再生することに成功しており、フランスのノルマンディーに世界最大の脱重合プラントを建設中です。そのため商業的な観点ではLoop Industriesよりも優位に立っています。
2024年には、Eastmanの株価が52週間の最高値を記録し、財務戦略としてEBITDAの大幅な成長を見込んでいます。
また、新たな人事としてIké Adeyemi氏が上級副社長兼最高法務責任者に任命されました。持続可能性への取り組みも強化されており、新しいリサイクル技術やバイオベース製品の開発に注力しています。

Alpla

Alplaはオーストリアのハードに本社を置くグローバルなプラスチック包装ソリューションを提供する企業です。プラスチックボトル、キャップ、注入成形部品などの革新的な包装システムを提供しています。食品、飲料、化粧品、医薬品など多様な産業に対応し、持続可能性を重視したパッケージングを開発しています。
直接的にプラスチックリサイクルに取り組んではいないものの、ケミカルリサイクルに貢献する企業としては競合していると言えるでしょう。Alplaは2025年までに全ての包装を100%リサイクル可能にする目標を掲げており、Loop Industriesとは角度を変えサーキュラーエコノミーに貢献しています。

Loop Industriesの技術力

Loop Industriesはその独自の技術力で競合に対し優位性を持っています。
具体的には廃棄されたPETプラスチックやポリエステル繊維を高価値の材料に変換する技術であり、これに関して従来のリサイクル技術よりもその水準が高く、高品質な再生プラスチックを開発しています。その技術力こそがLoop Industriesの強みになっています。

 最近の動向

韓国企業との提携によるアジア進出

Loop Industriesは韓国のSKグループと提携し、アジア市場への進出を加速しています。
2021年6月には、SKグローバル・ケミカル(SKGC)がLoop Industriesに5,650万ドルを投資し、株式の10%を取得しました。これを契機に両社は2022年に合弁会社を設立し、SKGCが51%、Loop Industriesが49%の出資比率でその会社は運営されることになります。
さらに、両社は韓国・蔚山に「Infinite Loop」と呼ばれるプラスチック廃棄物をリサイクルする工場を共同で建設する計画を進めており、この工場は2023年に着工し2025年末までに完成予定で、年間7万トンの再生PET樹脂を生産する能力があると言われているものです。

引用:Loop Industries Press Release 「LOOP INDUSTRIES PRESENTS ITS INFINITE LOOP™ TECHNOLOGY AT GROUNDBREAKING CEREMONY OF THE ULSAN ADVANCED RECYCLING CLUSTER IN SOUTH KOREA」

ケミカルリサイクル工場の建設

フランスの環境サービスの大手スエズとカナダ・プラスチックリサイクルの大手Loop Industriesは2020年のに欧州で初のプラスチック・リサイクル工場「Infinite Loop」を共同で建設すると発表しています。
今回の建設される工場では、バージンプラスチックと同品質で食品用にも活用でき、100%リサイクル可能なプラスチックを、廃プラスチックを原料として生産します。年間生産量は42億本で、これはリサイクル工場としては世界最大級の規模となっています。フル稼働すればこれは完全なサーキュラーエコノミー型の資源循環を構築する規模となります。当初は2023年に試運転開始予定でしたが、現在は2025年に建設開始予定と後ろ倒しになっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はLoop Industriesの独自技術や今後の展開などについてご紹介しました。
Loop Industriesは、サーキュラーエコノミーの実現への動きを通じて、環境負荷を低減しつつ、より持続可能な未来を築くために挑戦を続けています。引き続き、その動向に注目していきたいと思います。
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