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日本・アジアで増大するバッテリーリサイクル市場:2030年までの成長予測【前編】

近年、電気自動車(EV)と再生可能エネルギーの急速な普及に伴い、バッテリーリサイクル市場が注目を集めています。今回の記事は、前編と後編の2回連載します。
前編のこの記事では、日本およびASEAN諸国、インドにおける「バッテリーリサイクル市場、ビジネスの将来性と市場動向」を詳細に分析します。
後編では、「バッテリーリサイクルによる脱炭素効果とクレジット化の可能性」といった新たなビジネスチャンスを深掘りします。

市場規模の爆発的成長:数字で見る将来性

2024年から2030年にかけて、バッテリーリサイクル市場は劇的な成長が予測されています。主要市場の市場規模推計は以下の通りです。尚、下記は各国の主要調査会社や業界レポート等をもとに、複数の資料の平均・中央値的な値をもとにした「概算の市場規模イメージ」です。実際の数値とは異なる可能性があります。

国別市場規模予測 (単位:億円)

国/地域2024年2027年2030年
日本1,0002,5004,000
インド1,2003,0005,000
インドネシア5001,3002,100
タイ4501,1001,800
ベトナム3008001,400

市場成長のキードライバー

1.電気自動車(EV)バッテリーの大量排出

EVの普及に伴い、使用済みバッテリーの排出量は加速度的に増加すると予測されています。各国で進むEV普及政策と、逆に協調したリサイクル規制の強化が市場拡大を後押しします。

2.太陽光発電システムの拡大

家庭用および系統連系型の太陽光発電システムの普及により、蓄電池の廃棄量も増加する覚悟です。 特に、固定価格買取制度(FIT)の満了後は、パネルと蓄電池の更新需要が顕在化すると予想されています。

国別の特徴と戦略

日本:技術革新のリーダー

日本は初期からバッテリーリサイクル技術の開発に力を入れており、国内市場だけでなく、アジア圏への技術輸出も視野に入れています。
参照:経済産業省「蓄電池産業の競争力強化に向けて」

インドネシア:資源優位性を協議した戦略

ニッケルなどの主要資源を豊富に保有するインドネシアは、EV用バッテリーのサプライチェーン構築に積極的で、リサイクル分野にも大きな注目が集まっています。
参照:JETRO「国産化に動くEV用バッテリー産業(インドネシア)」

インド:急速な市場拡大

EVと太陽光発電の導入ペースが非常に早く、2030年以降も大量の使用済み電池の排出が予想される市場として注目されています。
参照:JETRO「インドの再生可能エネルギー分野の事業機会」

新たな可能性:トリプルリユース

注目されているのが、「トリプルリユース」という概念です。一度使用したバッテリーをセカンドライフ(再利用)に回した後、さらにリサイクルする循環型アプローチが、持続可能な市場成長の鍵となりつつあります。

今後の展望

2030年以降、バッテリーリサイクル市場は真の巨大市場となり今後成長すると予測されています。日本、インド、ASEAN諸国では、政府の政策支援と企業投資が加速しており、今後のビジネスチャンスとして非常に有望な市場と言えるでしょう。
後編では、バッテリーリサイクルビジネスの脱炭素効果とカーボンクレジット化のビジネスチャンスといった新たな着眼点を深掘りします。後編もご覧ください。
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