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最新の再生可能エネルギー技術とその未来

脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入は急務となっています。
今回のブログでは最新の再生可能エネルギー技術やその開発・実証実験の動向などを取り上げ、今後注力していくべき分野への理解を深めていきましょう。

ペロブスカイト太陽電池

ペロブスカイト太陽電池とは

ペロブスカイト太陽電池とは、その名の通りペロブスカイト材料を用いた太陽電池のことをいいます。
シリコン太陽電池よりも安価で製造でき、効率が高いことから注目が集まっています。
2009年に初めて実用可能な形で報告され、その後研究開発が進んでいますが、商業化はまだ初期段階になっています。特徴としては少ない製造工程で製造が可能であるということやプラスチック等の軽量基板の利用が容易であり軽量性や柔軟性を確保しやすいということ、そして、主要な材料であるヨウ素の生産量は、日本が世界シェア30%(世界2位)を占めているといったことが挙げられ、シリコン系太陽電池以外で実用化が可能な技術として期待されいます。

最新の進展と諸外国の動向

①日本
経済産業省資料によると、ペロブスカイト太陽電池は、「ヨーロッパや中国を中心に技術開発競争が激化している状況にあるが、日本は世界最高水準に位置し、特に製品化のカギとなる大型化や耐久性の分野でリードしている状況である」とされています。
例として、積水化学工業は、現在30cm幅のペロブスカイト太陽電池のロールtoロールでの連続生産が可能となっており、耐久性10年相当であり発電効率15%のものの製造に成功し、既に建物壁面への実装工事も行われています。
また、実証の取組も進捗が見られており、11月15日には、世界初となる1MW超の建物壁面への導入計画が公表されています。

②海外
中国では、ペロブスカイト太陽電池をめぐって2015年頃からスタートアップ企業が複数設立し、多数の企業や大学が中国自国内の特許取得を進めていると見られています。特にDazhengやGCLPerovskiteなどをはじめとして量産に向けた動きも見られている状況です。
また、英国では、オックスフォード大学発スタートアップのオックスフォードPVが、タンデム型(複数種を組み合わせた電池) 太陽電池技術の商品化・量産化・製造プロセスの開発に注力しており、2025年前後の大量生産を目指しています。
加えて、ポーランドのスタートアップ企業であるサウレ・テクノロジーズは、屋内向けの電子商品タグ等のペロブスカイト太陽電池の開発を進めており、2023年内の商用化を計画するとともに、壁面を用いた実証の取組を開始しています。

浮体式洋上風力発電

浮体式洋上風力発電とは

そもそも洋上風力発電とは、プロペラで風の運動エネルギーを回転エネルギーに変えて発電機を回す風車を、洋上(海の上)に設置する発電方法です。
洋上風力発電には、洋上では風が強く安定して吹いていることや、設置場所が生活圏から離れるために、騒音や景観に関する問題が少ないことがメリットとしてあります。
そして、主に洋上風力発電には「着床式洋上風力発電」と「浮体式洋上風力発電」の2つがあります。
着床式洋上風力発電とは、海底に杭や重石などの支持構造物を設置し、風車を固定して発電する形式です。
浮体式洋上風力発電とは、何点かで海底に係留した浮体(洋上で浮き、水平な姿勢を保つ構造物)の上に、風車を乗せて発電する形式です。これは発電場所が浅瀬に限らあれるため導入が限定的になります。浮体式では、深い海域では着床式よりコストが低いことや、大規模な支持構造物を必要としないために、より広範囲な場所に設置が可能であること、海底環境に与える影響が小さいことがメリットとして挙げられます。
一方で、安全性を確保するために、台風を含む風条件や、波、海潮流、水位といった海象条件、海氷、付着生物、地震などの災害、積雪にも配慮する必要があること、技術面やコスト面で改善が必要であることなど、課題も数多く残っています。

洋上風力の導入意義

そもそも洋上風力が最新の技術として注目されている理由はなんでしょうか。
経済産業省の資料を参照すると洋上風力発電は、①導入拡大の可能性があること②コスト競争力のある電源であること③経済波及効果が期待される。といったことが挙げられています。
導入拡大の可能性については現在欧州を中心に洋上風力は拡大しているため、地形に類似性のある日本も導入が期待されることが挙げられています。
また、コスト競争力のある電源であることについては、洋上風力の導入が先行する欧州では、遠浅の北海を中心に、落札額が10円/kWhを切る事例や市場価格 (補助金ゼロ)の事例等、コスト低減が進展していることからコスト面での優位性があることが考えられます。
そして経済波及効果の側面ですが、洋上風力発電設備は、部品数が多く(数万点)、また、事業規模も大きいことから、関連産業への波及効果が 大きく、地域活性化にも寄与すると言われており導入に注目が集まっています。

最新の進展

政府は洋上風力産業ビジョンというものを発表しており、目標を達成するためには、水深の深い沖合に適しており大きなポテンシャルのある「浮体式洋上風力」の導入拡大が必須であるとされ、浮体式洋上風力が注目されています。
実際、経済産業省及びNEDOでは、グリーンイノベーション基金「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトを行っており2023年10月に、経済産業省及びNEDOにおいて候補区域として4区域(1)北海道石狩市浜益沖(2)北海道岩宇・南後志地区沖(3)秋田県南部沖(4)愛知県田原市・豊橋市沖 を選定し、実証実験を行うことが決定しています。
これらにより、今後の浮体式洋上風力発電の市場は、今後数十年で大幅に拡大すると予測されており、特に欧州、アジア、北米が主要な市場となる見込みです。

引用:産総研マガジン「洋上風力発電とは?」

潮流発電

潮流発電とは

潮流発電は、潮流そのものもしくは、潮汐に伴う潮位差を利用してタービンを回し、発電する方式です。
潮力発電、潮汐発電などとも呼ばれます。潮位差を利用する場合は、大きい湾や河口の入り口などにダムと水門を建設。満潮時に貯水し、干潮時に水門を開いて水を放出することによってタービンが回り発電されます。
発電システムには、干潮時の一方向の流れで発電する方式と、タービンが双方向の流れに対して回転し、満潮時および干潮時の二方向流れで発電を行う方式があります。

最新の進展

環境省は2014年より実施した「潮流発電技術実用化推進事業」において、国の海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定された長崎県五島市久賀島沖での取組み及び各種調査で取得したデータを広く公開し、潮流発電に対する理解を深め、その普及拡大を図ってきました。
2019年5月には特定非営利法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会からなるコンソーシアムが事業者として選定されました。そこでは国内初となる500kW規模の潮流発電の実証を実施し2021年1月には発電を開始しています。
また、2022年1月に「令和4年度潮流発電による地域の脱炭素化モデル構築事業」では、長崎県五島市沖奈留瀬が国内初の商用スケール大型潮流発電による実証試験として採択されました。初期段階の実験を終え、大型発電機の設計に取り組んでおり、2024年度にも国内で初導入する計画となっております。
海の生態系を保全することや、資金不足など課題が山積みではありますが、海の波からエネルギーを生むというこの大きな挑戦にめが離せません。

出典:環境省 「大規模潜在エネルギー源を活用した低炭素技術実用化推進事業のうち、潮流発電技術実用化推進事業(経済産業省連携事業)」

エネルギー貯蔵技術

固体酸化物燃料電池(SOFC)

固体酸化物燃料電池(SOFC)とは燃料電池の一種で、高効率で電力と熱を同時に生成できる次世代の発電技術として注目されています。
これは電気の生成に水素、天然ガス、バイオガス、合成ガスなど、さまざまな燃料を使用できます。これにより、燃料の選択肢が広がり、カーボンニュートラルを目指す中でも柔軟な運用が可能です。
加えて固体酸化物燃料電池(SOFC)は高効率の発電により、同じ電力を生成するために必要な燃料量が少なく、結果としてCO₂排出量を削減できます。
以上を踏まえてCO₂排出量を削減として、そして再生可能燃料の利用促進の手段として注目されています。昨今では、新材料の開発により、寿命の延長やコスト削減が進んでおり、住宅用や産業用の小型ユニットも普及が進んでいます。

 カーボンニュートラル燃料

バイオ燃料

バイオ燃料は、再生可能エネルギーの一種です。主に動植物の油脂やデンプン、糖分、てんぷらなどで使って廃棄された油、家畜の糞尿などの生物資源から作られており、枯渇しない再生可能エネルギーにあたります。
環境問題が深刻化する現代において、バイオ燃料は重要なエネルギーとして注目されているのです。

バイオ燃料の活用方法と今後の方向性

ここでは、特に今後バイオ燃料の導入が期待されている運輸部門における対応について取り上げます。
経済産業省の第6次エネルギー基本計画では、(自動車の)「燃料の脱炭素化を図っていくことも必要であり、既存の燃料インフラや内燃機関等の設備を利⽤可能なバイオ燃料や合成燃料等の選択肢を追求していくことも重要である。バイオエタノールやバイオディーゼルについては、引き続き、国際的な導⼊動向等を踏まえ導⼊の在り⽅を検討していく。」とされており脱炭素燃料としてバイオ燃料が導入される可能性があります。
また、航空機についても、国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)が、2020年以降、温室効果ガスの排出を増加させないという目標を掲げており、航空機は電動化が難しいため、バイオ燃料が期待されています。

まとめ

今回は主に再生可能エネルギーに関わる最新技術として、ペロブスカイト太陽電池・浮体式洋上風力発電・潮流発電・固体酸化物燃料電池(SOFC)・バイオ燃料について扱いました。
2050年のカーボンニュートラルの実現にはこれらの最新技術がどれだけ発展し、実用化できるかが鍵になるでしょう。今回のブログが少しでも皆様のお役に立ちましたら幸いです。

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