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【いつまで続く!?】ガソリン代高騰の背景と今後の予想

最近、「ガソリン代が高い」と思う方は多いのではないでしょうか。

2022年11月現在、ガソリン価格は1L160円前後を推移しており、ここ数年のガソリン価格は高騰しているといえます。

元々、新型コロナウイルスの蔓延によりガソリン代の価格は上昇し始めましたが、
ここに追い討ちをかけたのが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻です。

これにより、原油価格の高騰は歯止めが効かなくなったと言えます。

今後ガソリン価格はどうなっていくのか気になる方もいらっしゃるはずです。

そこで本記事では、ガソリン代が高騰した理由や、今後の見通しを詳しく解説した上で、この先どのような行動をとっていく必要があるのかについて触れていきます。

一通り読んでいただければ、ガソリン代の高騰に悩まされている企業の皆さまが、今後どのように対応していくことが望ましいか、理解することができます。

また、企業として今後取り組めることも見えてくるかと思いますので、ぜひご一読ください。

ガソリン価格の決まり方

ガソリンの価格は原油生産量や為替動向、政治背景や需要と供給のバランスなど、さまざまな要素が絡み合って決まります。

一般的にガソリンスタンドで販売されるガソリンの価格は

・本体価格
・石油石炭税
・地球温暖化対策税
・消費税
・ガソリン税

の5つの種類からの合計です。

図 ガソリンの価格に占める税金の内訳
出典:linkholaが作成

実はガソリン本体の価格は55%程度で、残りの45%は税金になっているのがわかります。

上記を少し詳しく解説します。

本体価格

これは原油の元売りからガソリンスタンドに卸すまでのコストです。

日本は原油国ではありませんので、輸入で仕入れています。

そのため、輸入するまでに「原油料」「運送費」「人件費」などがかかっています。

これらが、主な本体価格の内容です。

石油石炭税

原油及び輸入石油製品、ガス状炭化水素や石炭に対して課される税金です。

地球温暖化対策税

日本で平成24年から導入された「環境税」の一つです。

石炭・石油・天然ガスといった全ての化石燃料の使用に対し、二酸化炭素の排出量に応じてかけられる税金になります。

消費税

ガソリンや灯油などには、他の商品やサービスと同様に10%の消費税がかかっています。

ガソリン税

ガソリンは石油から製造するため、その製造所からガソリンを出荷した時にかかる税金になります。

そのため、ガソリン税はガソリンの価格に含まれています。

ガソリン高騰の背景

高騰は主な要因は原油生産量と需要量のバランスの悪さです。

2020半ばから始まったガソリン価格の高騰は、複数の要因が重なって引き起こされています。

ここ数年でガソリン代が高騰をし続けているのには大きく分けて3つの理由があるので、詳しく解説していきます。

・新型コロナウイルス蔓延
・ロシアによるウクライナ軍事侵攻
・加速する円安

新型コロナウイルス蔓延

新型コロナウイルスが世界に蔓延してはじめてきたのが2020年初頭になります。

その後、世界各国でパンデミックが発生し、ロックダウンをする国が続出したことによって、物流の流れも停滞しました。

物流や人の流れが停滞したことで、ガソリンの元である石油の価値が落ち込みました。

この時にここ数年では最安値である、1L 117円まで落ちたのです。

しかし、産油国は価格を維持するために、原油生産に規制をかけました。

この後、パンデミックが落ち着き、急速な経済回復によって需要と供給が釣り合わず、ガソリン代は高騰してきたのです。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻

そして追い討ちをかけたのが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻です。

その理由は、ロシアは世界第2位の産油国だからです。

ロシアのウクライナへの軍事侵略が各国のエネルギー情勢に与える影響は、ロシアへの依存度によって大きく異なります。
そしてまさに日本の原油は、ロシアからの輸入に大きく依存しているのです。

そのためこのような戦争は、資源を持たず輸入に頼っている日本に大きな影響を及ぼします。
さらに軍事侵攻の終結の目処が未明なため、原油価格の低下は見通しがたっていない状況です。

加速する円安

ガソリンは輸入品のため、為替相場と原油価格に大きく影響されます。

そのため、円安が起きるとガソリン価格も高騰するのです。

原料である原油はドル建てで取り引きされているため、現在のガソリン高騰は円安に起因するところが大きいのです。

日本は大規模な金融緩和を維持しようとしている反面、アメリカはインフレを抑えるために金利をあげました。

この、双方での金融対策の違いが、急激な円安進行と原油価格の高騰に繋がり、且つ、ガソリン価格も比例して高騰を続けていると考えられます。

今後の見通し

ここでは、ガソリン代が今後どのような動向をするのかについて解説していきます。

トリガー条項の発令

皆様も一度は聞いたことのある「トリガー条項」

まず、トリガーの意味は「引き金」です。

簡単に説明すると、トリガー条項とは「あらかじめ決められていた一定の条件を満たした場合に発動される条項」の事を言います。

もっとわかりやすく言うと、「原油高などでガソリン価格が高騰したような場合に、ガソリン税を引き下げるため」のルールというものです。

トリガー条項は2010年に決定されましたが、東日本大震災の財源確保のため、2011年に停止されました。

トリガー条項の発動条件は、レギュラーガソリン価格の全国平均が「1L160円を3ヵ月連続で超えた場合」に発動されることになっています。

その後、同じ指標が「1L130円を3ヵ月連続で下回った場合」には、再び特例税率に戻るというものです。

しかし、トリガー条項を発動してしまうと、ガソリンスタンドで買い溜めをする、といった事態が懸念されています。

そのため、トリガー条項は一旦発動すると市場に混乱が発生する恐れがあるので、政府としては慎重にならざるを得ないのが現状となっており、ガソリン代の大きな値下げはしばらく難しいのではないでしょうか。

脱炭素化

深刻な地球温暖化の影響で、世界では脱炭素化が急速に進んでいます。

地球温暖化の原因でもある温室効果ガスは、原油などの化石燃料を燃焼する時に大量に排出されます。

この温室効果ガスを削減するために、世界は脱炭素化で化石燃料の使用に規制をかけて、供給量を減らしているのです。

しかし、2022年時点において、自動車用ガソリン、石油化学原料などで、石油よりも、量的・経済的に優れたエネルギーはありません。

そのため、脱炭素の流れのなか、石油が優れたエネルギーであるという現実こそが、需要と供給が釣り合わない原因であると言われています。

そこで、生産量を抑え需要とのバランスをギリギリにして保っているので高値が続いている状態です。

脱炭素化が進んでいる中での、ガソリン代の低下や落ち着きは期待できないのではないかと思います。

ガソリン代高騰で取るべき行動

ガソリン代が高騰しているため、今後どのような対策をとっていく必要があるのかについて以下の2つに注目して解説します。

・テレワークの導入
・燃料サーチャージ制の導入

社員が自家用車で通勤する際の費用は企業が負担するのが一般的です。

しかし、テレワークを導入することで通勤する社員の割合が減れば、通勤費用でもあるガソリン代を減らすことができます。

また、本来、社用車などを用いて、出向いて行っていた商談やミーティングなども、オンライン上で行うことで、社用車の使用回数を減らすことができます。

他にも、日常生活において、自動車を使っている時に排出される温室効果ガスを減らすことができます。

世界では温室効果ガスを削減する取り組みに積極的になっています。

オフィスへの出社回数を減らし、自家用車や社用車の使用も減らすことで、脱炭素社会への取り組みになり、企業のイメージアップにも繋がることでしょう。

燃料サーチャージ制の導入

燃料サーチャージ制とはご存知でしょうか。
おそらく、運送業の関係者の方なら聞いたことはあるはずです。

国土交通省の「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」には、以下のように記されています。

「現状の燃料価格が基準とする燃料価格より一定額以上、上昇した場合に、上昇の
幅に応じて燃料サーチャージを設定または増額改定して適用するものです。
一方、燃料サーチャージの設定時点より下落した場合には、その下落幅に応じて
減額改定し、また、燃料価格が基準とする燃料価格よりも低下した場合はこれを廃止
します。」

引用:国土交通省「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」
(https://www.mlit.go.jp/common/000211177.pdf)

つまり燃料サーチャージ制とは、「燃料価格の高騰が原因で、運送業者が一方的に損をしてしまう」といった状況を防ぐことを目的に、「燃料価格の上昇によるコストの増減分を、別建ての運賃として設定する制度」のことです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

現在のガソリン価格の高騰は複数の要因が重なって起きていますが、需要と供給のバランスのズレが大きな要因としてあげられます。

他にも、新型コロナウイルスなどの疫病や戦争といった予想できない事態が大きく関わっており、今後もガソリン価格が大きく下がる可能性は低いと考えられます。

ですので、ガソリン代が高騰している今、これを機に脱炭素化に取り組む道もあります。

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